【年収だけじゃない?】開業医のお金の自由度が勤務医より圧倒的に高い理由

医師の働き方

 インデックス医です。

 さて本日は、勤務医に比べて開業医がお金の自由度が高い理由を見ていきます。

 そして、お金の自由度が高い代わりに開業医にはどんな苦労があるのかを考えていきます。

 勤務医としてある程度の経験と人脈を積み、その後に開業するというのが、昔から変わらない医師のの働き方の一つです。

 勤務医とは違って事務作業なども自らしなければならないなど、仕事が増える、というより仕事の種類が変わります。

 一方、開業医になることで勤務医時代より年収はアップし、さらに経費が使えるようになるなど、経済的にはより自由になれるイメージを持っていると思いますし、これはあながち間違いではありません。

 勤務医と開業医のお金の使い方や、税金のコントロールについて興味がある方、勤務医と開業医の働き方の違いを知りたい方には役立つ部分があると思います。

 今回はざっくりとした解説をするので、「開業医になると税金が減らせるんでしょ?」という知識を少し深く知りたい方にはちょうどいいかと思います。

 より詳しい解説は、結構細かい話になってしまうので、要望があれば書きたいと思います。

 では、みていきましょう。

本日の結論

 ・年収は、開業医=勤務医+1000万
 ・開業医は勤務医+経営者 
 ・税金という視点ではお金の自由度は圧倒的に開業医が高い
 ・勤務医にできる節税と、開業医にできる節税
 ・勤務医と開業医は業務の質が異なる

年収は、開業医=勤務医+1000万円

 令和元年に公表された厚生労働省の「医療経済実態調査」によると
 勤務医の平均年収 1328万円
 開業医の平均年収 2745万円
 と、その差は1000万円以上にのぼります。

 差の1000万円というのは、年収なので、1年間での差分になります。

 たとえば、50歳で開業したとして、最低60歳まで働き続ける想定なら、生涯年収はそれだけで1億円の差が出てきます。非常に大きな差ですよね。

 こうして見てみると、基本的には開業医の方が年収という点では上回っているようです。

 この勤務医と開業医の年収差はイメージ通りで、特に驚かない人も多いと思いますが、一つ考えておきたいのは、このデータの年齢層です。

 勤務医の平均年収には、初期臨床研修医から、大学病院長のような世代まで幅広く含まれます。

 しかし、開業医はある程度医師としてのキャリアを積んだ状態で開業することが多く、40代以降の医師が大半を占めます。

 そうなると、この年収の比較は簡略化しすぎで実態を反映していないのではないかとも思われるかもしれません。

 ですので、少し補足すると、2017年の少し古いデータにはなりますが、この時の45−49歳の医師の年収が1500万円弱です。

 ですので、同じ世代間でもやはり勤務医と開業医では1000万程度の年収の差はあると想定されます。

 50歳以降の世代を加味しても到底開業医には届きませんが、このデータほどの差はないかもしれません。

開業医=勤務医+経営者

 年収は、開業医>勤務医、というのはわかりましたが、税金についてはどうでしょうか。

 勤務医は、いわゆる額面給与から、税金を源泉徴収され、税金が引かれた状態で給与を受け取ります

 勤務医からすればこの先に税金が引かれている状態というのは当然ですが、開業医は違います。

 開業医は、一部のお金は使ってから税金を払うのです。これがいわゆる経費です。

 この税金を先に払うか、後で払うか、というのは非常に大きな差であるというのは、勤務医の先生も実感していることでしょう。

 というのも、勤務医の中でも平均以上の収入のある方は、毎月の給与から社会保険料、所得税、住民税などで、半分近くの税金を払っていると思います。

 つまり、勤務医がすでに半分に減らされた状態のお金を使うのに対し、
 開業医は、100%の状態からお金を使い、残った分に対して税金を払っているのです。

 もちろん、経費というのは業務に必要なものにしか使えませんので、友人との食事代を全額経費にするようなことはできません。

 しかし、医学書などの知識のアップデートなどに必要なものであれば経費として通ることは多い、というか仕事に直結する部分なので当たり前と言えば当たり前に経費になります。

 この医学書も勤務医なら自分で、税引後の収入で買うことが多いと思います。

 再度確認ですが、勤務医と開業医の税金の違いはこのようになります。

 勤務医→給与から税金を計算、税金を引いて残った手取りからすべての支払いをする
 開業医→売上から経費を引き、その後に税金を計算。残った手取りで、経費にならない部分を払う

勤務医の手取り=給与−税金

開業医の手取り=
    (売上−経費)−税金

 この税金を払う順序が違うというのは、非常に重要です。

 これだけでも開業医が、勤務医に比べて圧倒的にお金の自由度は高くなるのですが、それだけでは現実はこれだけには収まりません。

勤務医に出来る節税と、開業医に出来る節税

 勤務医が出来る節税の中で、代表的なものは以下です。

 勤務医が出来る節税リスト
 ・積立NISA
 ・iDeCo(個人型確定拠出年金)
 ・ふるさと納税
 ・生命保険料控除、住宅ローン控除

過去記事に少し詳しく書いてますので、参照してください。研修医向けに書いてますが、勤務医も基本的には変わりません。

 これら以外にも節税として、細々したものはいくつかありますが、コストパフォーマンスの観点からあまりおすすめできないものも多いので、実際はこの4種類をすれば十分だと思います。

 続いて、開業医の出来る節税はこちら

 開業医が出来る節税リスト
 ・勤務医が出来るすべての節税
 ・経費での物品購入、会食
 ・小規模企業共済等掛金控除
 ・倒産防止共済
 ・その他多数

 開業医=勤務医+経営者と書いたとおり、開業医は基本的に勤務医が使える節税制度は使えます。

 そこに加えて、先程の経費、そして開業医というより会社の社長や個人事業主のために設計されている様々な制度を活用することで、節税が出来るようになっています。

 直接的な節税ではなくても、社用車としての車、職員社宅としての賃貸物件など、実質的な手出しを減らすスキームは多く存在しており、ここまで含めると、やはり開業医の方が金銭面では圧倒的に有利ですね。

勤務医と開業医は業務の質が異なる

 お金に関しては、圧倒的に開業医>勤務医、ということがわかっていただけたかと思いますが、なら全員開業すれば幸せになれるかと言うと、もちろんそんな事はありません。

 そもそも、勤務医から開業医になるということは、会社員から社長になるということ。
 いままで大病院でやっていた外来をそのままクリニックでするだけでは成立しないのです。

 ・そもそも出来る医療が狭まる(リソースの問題)
 ・逆に診る患者層はより幅広くなる
 ・事務手続きが増える
 ・人事やお金の問題
 ・マーケティングなどもしないといけない

 私がぱっと考えるだけでも他にもたくさん出てきますが、一番大きな問題は、このような勤務医と開業医の違いをあまり認識しないまま開業をする医師が多いことです。

 大病院では、事務員やドクターズクラークが様々な書類などの事務的な仕事を担ってくれています。そのせいか、事務手続きに関しては、非常にルーズな医師が多い
 その延長で開業すると痛い目を見ますし、なんとか自身でこなせても、ストレスは勤務医時代より大きくなるかもしれません。

 クリニックの集客に関しても、どのような手法で認知度を高めていくか、どのような対策を打ってリピートしてもらうか、いつを休診にするかなど様々なことを自分で決める必要があり、勤務医だけをやってきた医師にはストレスフルでしょう。

 さらに、お金に関しても、繁盛し、大きな利益があれば先程の節税のような事を考えることが出来ますが、黒字の開業医は3割程度というデータもあります

 特に開業当初は、銀行からの借り入れの返済をしながら、患者の定着にも力を入れなければならず、考えることは多い。

 自身の外来自体は人気でも、経営が下手で赤字になってしまうようなこともあるので、
 勤務医としての適正と、開業医としての適性は異なるということを踏まえて、自分にあっているかを深く検討する必要があるでしょう。

 少し、マイナスな書き方になってしまいましたが、開業医自体が悪いと言いたいのではなく、
 開業するなら、経営などの知識も身につけ、自身の適性にあっていると判断した上で開業したほうが良いということです。

 開業医=勤務医+経営者

 これを忘れてはいけません。

本日のまとめ

 ・お金の面では開業医が圧倒的に有利
 ・勤務医は税引き後のお金を使い、開業医はお金を使った後に税金を払う
 ・開業医はあくまで勤務医+経営者

 開業医は圧倒的にお金の面では有利ですが、その分、勤務医とは業務の質が大きく異なります。自分の適正と、仕事に求めるやりがい、生き方など自分に向き合って考える事が重要です。

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