【本当は9000万円?】老後2000万円問題を医師に当てはめてみてわかる事実 具体的な対策あり

資産形成

 インデックス医です。

 「老後2000万円問題」をみなさんご存知でしょうか。

 数年前に話題になり、連日ニュースで取り上げられていたので「2000万円問題」というワードだけは覚えているという人も多いかもしれません。

 この2000万円問題は、今の現役世代が退職した後に、年金のみで暮らすと仮定した際の赤字分の金額です。
 60歳から90歳までの約30年間で2000万円の不足が生じるので、それを自分で補填する必要がある、
 という内容の文書が公表されたのが始まりで、2000万円という金額の大きさもあり、一時期大きく話題となりました。

 本日は、この2000万円問題に関して
 ・この2000万円という数字は、どこから現れたのか
 ・医師の生活水準だと実際にはいくらの不足が予想されるのか
 ・この不足分を補うにはどういう対策をすればよいのか

 これらについて考えていきます。

 タイトルにある通り医師では9000万円不足することが予想されたので、その具体的な計算方法と対策も紹介します。

 非現実的ではなく、誰でも出来る対策ですので、9000万円という数字に臆せずに読みすすめてみてください。

 それではいきましょう。

本日の結論

 ・「2000万円問題」の前提と計算方法
 ・
2000万問題」を医師に適用すると9000万円問題になる(具体的な計算あり)
 ・9000万円を自力で用意するためには13万円/月必要

2000万円問題とは 前提と2000万円の計算方法

 そもそも、老後2000万円問題というのは、2019年に金融庁の出した報告書中に、
「年金のみでは老後資金が約2000万円不足する。その分は国民が自分で用意する必要がある」
というような旨の記載があり、それをマスコミが取り上げて、一時期話題になったものです。

 ただ、この「2000万円」という数字ばかりが人の目をひき、その前提やどういった計算がなされ、この数字が現れたかについてはあまり知られていません。
 しかし、前提条件なくして、それを考察することは出来ませんので、まずはその確認です。

 前提は以下のようになっています。
 ・夫婦2人暮らし
 ・うち一人は主婦
 ・働いている時の収入は月30万円
 ・国民年金、厚生年金をともに40年間納付した
 ・老後の収入は年金のみ

 これが前提条件で、2000万という数字は以下のように計算されています。
 ・収入は、国民年金78万/年、厚生年金85万/年
 ・扶養配偶者がいれば+78万(国民年金)
  →合計で、241万/年 月額で約20万

 ・支出は25.5万/月と想定され、
 ・収支は、20万–25.5万=−5.5万/月
 −5.5万×12ヶ月×30年(60−90歳まで)=1,980万

 1980万≒約2000万円が退職後の60歳から90歳までの間に不足するとされたのです。

 計算自体はともかく、その前提条件は、ツッコミどころがいくつかありますね。
 ・そもそも今の若い世代は共働きが多いこと
 ・老後は年金以外の収入が全くないと想定されていること
 ・60歳から90歳までの30年で計算されていること(今の20代は、半分が100歳以上まで生きるという予想もある)

 こうしてみると、2000万円問題というのは誰に当てはまるかわからないような前提になっており、今の自分の状況に合わせた計算をすることが必要だと思いませんか?

2000万円を医師の収入、生活費で計算しなおしてみる

 先程の前提にはツッコミどころは多いのですが、簡略化のために基本的な前提はそのままに、現役で働いている時の収入のみ変更して年金の計算をしてみます。
 医師の平均年収は1200−1500万円ですので、今回は年収1500万円で、35年働いた前提で計算します。医師として働きだすのは最も早くて24歳なのでやや短めの35年としています。

 年収1500万円だと、
 ・収入は国民年金78万円、厚生年金150万円
 ・扶養配偶者がいれば+78万円
 →合計306万円 25.5万円/月

 ・支出についても見直してみます。
 医師への調査で、生活費の関して、現役の医師だと50万円/月を超える世帯がほとんどのようで、老後も約半数の医師が50万円/月以上、残りの半分は30-50万円/月となっています

 老後の支出を50万円/月とすると
 収支は25.5−50万円=−25.5万円
 −25.5万×12ヶ月×30年

         9,180万

 ざっくり9000万円が、老後の不足金額ということになりました。

 (補足として、我々が受け取る年金はある一定の給与で頭打ちになります。その分支払う税金も頭打ちになります。そのため、給与が高くても、受け取る年金はだれでもそう大きく変わらなくなるのです。)

 これをみて、「9000万円なんて無理だ、どうすればいいんだろう」と思った方も多いと思います。
 しかし、私は皆さんを不安を煽りたいわけではなく、
 ・支出のコントロール
 ・資産運用
 これらの重要性を理解していただきたい
のです。

 給与の増加とともにひたすら生活水準が上がり続け、全くお金が貯まらない人や、資産運用をせずに貯金のみで9000万円を作ろうと生活を切り詰める人にはなってほしくないのです。

 そうならないための適切な対策をこれから考えていきましょう。

老後9000万円問題への対策案 12万円/月の積立をしよう

 「老後9000万円」という文字面だけみると、不安を感じる人も多いでしょう。

 しかし、生活費をコントロールして、適切に資産運用をすれば、医師であれば9000万円問題は解決できます。それを理解して、実践していけば軽減されることと思います。

 そもそも70代以上の医師の半数は、資産が1億円以上というデータもあります。
 現在70代の医師が活躍していたのは、医師の給与が今より高い時代ではありますが、現代の医師も無理の資産運用を学べば、それくらいは問題なく達成できると私は確信しています。

 具体的に9000万円を築くための前提条件は以下とします。
・投資期間は25歳〜60歳までの35年間
・投資対象は全世界、もしくは米国
・インデックス投資
・投資リターンは平均3%と想定
・一部は積立NISA,iDeCoを活用する

 投資期間は25歳〜60歳までの35年間

 まず、投資期間は35年としています。現在60歳で完全に引退する医師は少ないです。しかし、インデックス投資とはいえ、株式に100%を投じるのはリスクがあるというのを考慮して、この60歳までという限定をつけています。

 ・投資対象は全世界、もしくは米国
 ・インデックス投資

 投資対象として、わたしが推奨するのは、全世界、もしくは米国を対象としたインデックス投資です。
 具体的な銘柄としては、投資信託であればeMaxis slimシリーズの全世界株式やS&P500、楽天全米株式インデックスファンド(楽天VTI)、楽天全世界株式インデックスファンド(楽天VT)でしょうか。
 ETFであれば、VT,VTI,VOOあたりでよさそうです。

 ・投資リターンは平均3%と想定

 表題の通り、これらの銘柄を12万円/月のペースで積み立て、投資リターンの平均が3%程度あれば、60歳時点で約9000万円を準備できます。

ここ10年のS&P500の平均リターンは10%弱ですので、リターンで想定している3%という数字は非現実的ではなく、むしろ少し消極的に計算しています。

 楽天証券の積立かんたんシミュレーションで実際いくらを毎月投資に当てると目標金額に達するのかを計算できるのでやってみました。

楽天証券 積立かんたんシミュレーションより

 具体的には、毎月121,366円を積み立てることで、35年後に9000万円という額を達成することができることがわかります。(簡略化のために税引前での9000万円としています。)

 9000万円と聞くと、途方もない金額な気がしますが、「月12万円ちょっと」なら現実的に思えてきませんか?
 少なくとも医師であれば、生活費を少しコントロールするだけで、この金額を投資に回すことは可能になると思います。
 研修医からでも始められると思うので、今を楽しみつつ、この金額だけは積立を続けるというスタンスが取れると非常に充実した日々が送れるように思います。

 また、これは60歳でリタイアすることを前提にしていますので、それ以降も医師として働くつもりの方や、趣味で何か副収入があるなど、60歳以降も収入源が見込めるのであれば、積立額の調整はしても良いかもしれません。

 ・一部は積立NISA,iDeCoを活用する

 さて、この12万円/月の一部は積立NISAやiDeCoを活用することで、投資利益分にかかる税金20%を減らすことができます。

 ・iDeCoを2.3万円/月を35年間積み立てと、
 ・積立NISAを3.3万円/月で20年間積み立て、その後15年間は追加投資せず、課税口座での運用を継続する
 つまり、12万円のうち、5万円程度を国の制度を活用することで、税金を減らすことができるのです。

 このiDeCoと積立NISAで積み立てた分でのリターンは以下のように計算されます。リターンは同様に3%の想定です。

 iDeCo 2.3万円/月を35年3%で運用 → 35年1700万円
 積立NISA 3.3万円/月を20年 そのまま追加なしで35年後まで3%で運用 →  35年後1660万円

 iDeCo 1700万円+積立NISA 1660万円 35年後に合計3360万円

 国が用意している制度を活用すると、老後には3000万円強を準備することができます。
 実際生活水準によっては、これで十分だという人も多いでしょう。

 またすでにお気づきの方もいるかもしれませんが、これらの制度を活用して月5.5万円程度の積み立てをするだけで、「老後2000万円問題」を自分で解決することができるのです。

 この2000万円問題は、政府が日本人に資産運用の必要性を理解、そして行動してもらうために、あえてこのような文書を作り、話題にしたのではないかと個人的には思っています。
 国が少しずつ日本人のお金に対する意識を変えようとしているのではないかと。

 しかし、iDeCoや積立NISAを活用すれば2000万円問題が解決できることに関しては、誰も教えてくれませんでした
 実際、特定の投資銘柄の推奨や、想定するリターンなどは国が明言することは難しいことではあります。知識があれば、国からのメッセージに気づくことができますが、無知の人には厳しい世の中です。

まとめ

 本日は「老後2000万円問題」について考察してみました。以下まとめです。

・医師の生活水準だと2000万ではなく、9000万円不足する可能性もある
・9000万円を用意するには12万円程度の積み立てを行えば良い
・具体的には、全米や全世界を対象としたインデックス投資
・iDeCoと積立NISAだけでも老後2000万円を用意することができる 

 iDeCoや積立NISAなどの制度をありがたく活用させてもらいながら、老後だけでなく、人生全体を豊かにするために制度や知識を活用していきたいものです。

 

 知識がなければただ2000万円という不安を煽られるような話題ですが、知識をもって考えてみると意外となんとかなる金額だということがわかります。
 特にお金に関する情報は、自分で取りに行かないと誰かが提供してくれるわけではありませんので、自分で行動した人が得しやすい構造になっていることが多いです。

 これからも少しでも有益な情報を提供できればと思いますので、友人や家族に紹介してもらえるとありがたいです。

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